勝海舟 後編

いよいよ、クライマックスの勝海舟。
 
しかし、やはり見所はショーケンの人斬り以蔵と、藤岡弘の坂本龍馬だ。
両者とも、若き血が滾る感情を思いっきりぶつける熱演に打たれる。
 
 とくにショーケン以蔵が武市半平太命令されてに松方海舟と並んでい
く道行きの場面。
 大好きな人を斬らなければならない心の葛藤が演技に現れていて、ショ
ーケンに釘付けになってしまう。
 倉本脚本の真髄は、名もなき(以蔵は悪名は残っているけど)
ものの挫折と苦しみを描くところにあるので、
見事にショーケンの持ち味と結実。
 
のちにショーケン・倉本コンビで「前略おふくろ様」が生まれた。
 
 また、藤岡弘、は若きパワーを前面に出して、坂本龍馬はこうであっ
て欲しいという視聴者が期待する龍馬像を完璧に演じきっていると思う。
(思うというのは全編を視聴できていないから)
 
 倉本視点から歴史を見ると、龍馬も日本の戦争を食い止めようとしな
がらも、なしえなかった挫折者なのかもしれない。
薩長同盟を実現させた英雄という側面より、
無念のまま死んだ犠牲者という印象を受けた。
 
 以蔵、龍馬、佐久間象山、海舟の周辺の仲間が次々と死んでいく中、
海舟は西郷と会談。江戸無血開城を実現させる。
その中で英雄の仕事をなしとげた男として描かれている。
まあ、通常大河ドラマとしては当然の表現だと思う。
 
 が、本当に倉本聰が描きたかったのは、結局その後の長い内乱を止め
ることができなかった挫折感ではないだろうか。
 
 途中で、脚本家が交替しているので、あくまで想像の域に過ぎないが。
 
倉本聰が全編を描ききった「勝海舟」が見てみたかった。
 
 なぜ倉本さんとNHKサイドが衝突したのか、全く想像妄想にしかすぎ
ないけど、あくまで海舟を英雄として描こうとするNHKと、英雄なんて
いない勝海舟でさえもただの人間として描こうとした製作姿勢の違いなの
ではと思う。
 
 松方さんは、この何十年後「HOTEL」や「刑事貴族」で次々とで鶴田浩二
さんや石原裕次郎さんがやっていた大勢を束ねるボス役を担うようになる。
 
が、ボス役をやっている人はどうも内心はつまらなさそうだ。
 
(想像に過ぎないけど)
 
 やはり松方さんは優等生な役よりふりきった役がよく似合うような気がする。
 
 「仁義なき戦い」や実録やくざものや晩年の「十三人の刺客」の主演役所の
サポートにまわりながら、ラストの殺陣でエネルギーを爆発させる。
 
そこに真骨頂があると思う。
 
松方弘樹がエネルギーを思い存分発揮するには少々世の中自体が縮こまり過ぎた。
 
文字通り映画界のラストサムライだったのだ。
 
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