ウルトラマンの手から出るスペシウム光線。
ウルトラマン Blu-ray BOX Standard Edition
日本の映像作品から出る光キラキラのほとんどはこの飯塚さん率いるデン・フィルム・エフェクトが担当していた。
ウルトラマンの光線ひとつにしても手書きで描く気の遠くなる作業だ。光線が出るのは番組中の本の十秒かそこらだが、その光線を作るのに膨大な作業がかかる。
しかも、今のようにコンピュータの画面上で処理できないので、仕上がりは経験と勘が頼り。ひとつひとつの仕事の積み上げが、飯塚さんに誰も真似のできないレベルの技術をもたらした。
飯塚さんの仕事はそのまま日本の映画史そのものだ。なにせあの東宝のタイトルのキラキラも飯塚さんの手がけたものだ。
円谷プロが東宝から独立した後も、東宝に内緒でかけもちで光線を作っていた。当時は寝る暇もなかったという。
タイトルのひとつひとつを聞いただけで、雄叫びを上げたくなる傑作の作品群ばかりだ。 しかも、東宝や円谷だけでなく東映作品「スーパー戦隊」や「宇宙刑事」シリーズも。「宇宙刑事ギャバン」の蒸着。
というあのキラキラが身体に集まってコンバットスーツが装着される光も飯塚さんの仕業。
光線や変身の描写でも、勝手に「円谷」とか「東映」とかブランドの名前だけが浮かんでいたけど、映像に現れるもののほとんどが技術者の培われた技によって生み出されたものだった。
さらに市川崑監督の「犬神家の一族」「木枯し紋次郎」
をはじめ、独特のタイトルバック。大映テレビのタイトルバックもデン・フィルム・エフェクトのものだった。
観客・視聴者として、何の気なしに見ている映像でも多くのスタッフの創意が結集して作られたものなんだと改めて思い直した。
作り手の心が込められたものは、やはり後世に残る。「ゴジラ」「モスラ」「サンダ対ガイラ」今見ても、何度見てもやはりその映像の迫力に魅了される。
全てがコンピュータで簡単に処理できるようになった時代。その中で、既存のものを越えるイマジネーションが生まれるのは用意ではないだろう。が、感動と技術が引き継がれれば、また日本の特撮は永遠に続くと信じたい。
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