ずっと現役研究家のま、いっかけんです。
今回は、週刊少年ジャンプで40年間こち亀こと「こちら葛飾区亀有派出所」を連載していた秋本治先生の仕事術の本の要約感想をお送りします。
週刊少年ジャンプといえば、厳しい人気投票で有名です。
人気が落ちてしまった漫画作品は容赦なく打ち切り。
という厳しいルールのもとで40年間連載を続けてこられました。
前人未到でこれからも破られることはないでしょう。
さぞかし特別な方法論をおもちなのかと思いきや、その秘訣は「当たり前のことを当たり前にやる」の一言につきそうです。
◎目次
第1章セルフマネジメント術
目次
- 何であれ〝好きで好きでしょうがない〟と思えることを見つけるべき
- 今日からでも遅くない 何かひとつ、自分の〝好き〟を探す
- どんなことが起こっても悩まず落ち込まない
- 鈍感な性格が幸いすることもある
- 何もやることがない休日はどこかに出かける
- 家でダラダラしている方が過酷なこと
- ギャグマンガながら劇画に強い影響を受けていた初期『こち亀』
- 変化を恐れない 『こち亀』も変化したからこれだけ長く続いた
- 常に新しいものを取り入れ、変化してきたから節目での悩みを乗り越えられた
- 自分の中で具体的に考えて結論まで導き、形にしたうえで人に相談を持ちかける
- ひとつの仕事を終えた瞬間の幸せが次の仕事のモチベーションになる
- 集中力を切らさないコツは仕事を終えた次の日も普通に仕事をすること
- 妄想や願望を形にできるのはモノづくりをしている人間の特権
- とっとと見切りをつけて次に移る そのくらいのタフさが、人生には必要
- 「まあいいや、なんとかなるでしょ」と楽観的に考えるズボラさも必要
- この仕事は大変でやりがいがある
- そんな自己暗示で苦手な仕事も乗り切る
- 仕事ができる人をやっかむのは時間の無駄 羨むより、応援して仲間になろう
- 難しい仕事のやめどき、続けどき
- 大きな決断は人に相談せず自分で下す
- 〝ピンチはチャンス〟というのは間違いなく真実
セルフマネジメント術要約・まとめ
秋本治先生は、漫画を書くことが大好きで、漫画のネタを書くことも大好きです。
だからネタに詰まって困ることもないし、煮詰まってストレスが溜まるということもないのです。
1話分が終了しても、一服しないで通常通りに仕事をするようです。漫画を書くことが好きなので、休まないことが苦ではないようです。
なかなか、寝食を忘れても没頭できることを仕事にできている人はなかなかいません。
40年間、終始一貫、変わらないスタイルを維持していたように見えていた「こち亀」でも、微妙にスタイルを変化させ続けてきたんですね。
ものごとを楽観的に考えてクヨクヨしないメンタルも、ずっと仕事を続けるのには大事ですね。
第2章 時間術
目次
- ひとつの仕事にかける時間を切り詰めて余裕を生み出す
- 小さな無駄な時間を省けば誰でも時間は詰められる
- どうしてもやりたい仕事を見つけ、それをモチベーションにする
- 時間を切り詰めるコツはスケジュールを自分で決めること
- 規則正しい勤務体制こそが理想の働き方
- 起床は7時半、勤務開始は9時
- 睡眠はしっかりととる
- 時間の使い方を規則正しくすると社会や人との付き合いも正しくなる
- スケジュールを管理するために使っていたのは集英社の社員手帳
- 複数の仕事を並行してやる場合は月間カレンダーでタスク管理する
- 納期のサバを読まれたらそれよりも早く仕上げて渡す
- スケジュール管理ができていたら想定外の事態が起きてもへっちゃら
- 時間を節約しながらインプット
- 〝ながら族〟も悪くはない
- 時間の約束を必ず守るのは人として当たり前の大鉄則
時間術まとめ感想
この本で一番すごいと思ったこの時間術です。
秋本治先生は、通常一週間で1話作る所を、5日で1話を作るようにして、そこからできた余裕からどんどんストックを貯めて行ったのです。
私は秋本治先生か「こち亀」の連載を開始した当時、少年ジャンプで赤塚不二夫賞をとり、 連載が決まった漫画家さんとお話をしたことがあります。
その方は連載が決まってから、ようやく連載漫画のストーリー作りにとりかかりました。
ところが、秋本治先生は「こち亀」の連載をはじめた頃には既に10話分のストックがありました。
ほどなくネタ作りに困って、その方の漫画は10話くらいで打ち切りとなりました。
その方の目標は「赤塚不二夫賞」で、秋本治先生は連載を勝ち取り、続けることが目標でした。
ここに天と地との開きがあったようです。
連載漫画を抱えている漫画家さんで、ストックを持っている人は珍しいそうです。
最近では、休載や、掲載するペースがとびとびの作品も珍しくありません。
秋本先生は、漫画のアイデアを考えるのに「どうしようかな?」と迷っている日数を2日なら1日にして時間を切り詰めます。
とある町工場を見学した時、工具箱から工具を探す時間を惜しんだ工場は、工具箱を捨て、工具を全部壁に取り付けたそうです。
このようにして、無駄な時間を省いて、時間をかけるところにはたっぷりかけるようにしました。
第3章 コミュニケーション術
目次
- 同じ目標を持つ同士を尊重し、意見が違うときも一歩前に進める
- 好きで選んだ道ならば覚悟を決めて愚痴らない
- 電話よりもメールよりも顔を見ながら話すのが一番早い
- 感情が伝わりやすいLINEやショートメールは仕事でも便利
- ときに建て前を使うのは当たり前 でも本音をぶつけられる仕事仲間は必須
- 相手の年齢・性別で変えることなく仕事の会話はすべて敬語で丁寧に
- 仕事でイライラしてしまったら同じところに留まらない
- 無茶ぶりの仕事も相手の事情を察し、冷静に対処する
- どうしてもできない仕事は例外をつくらず引き受けない
- 勇気を持って批判を受け流す
- 褒めてくれる人の声に応える方が建設的
- すべてを自分で抱え込まず人に任せる割り切りも大切
- 部下やスタッフを信頼して褒めると自分の仕事も気持ちよく進む
コミュニケーション術 まとめ感想
秋本治先生はアニメーターだった時、上の人から、褒められたことは覚えているけど、叱られた内容はほとんど覚えていませんでした。
もともと、スタッフたちは漫画が好きで仕事をしている人ばかり、叱っても誰も得しません。ほめて長所を伸ばすことにしているそうです。
第4章 発想術
目次
- 人から直接聞く生の声は本や雑誌、インターネットよりも重要
- 仕事でたくさんのことを抱えてしまったら少し寝かせるといい結果につながる
- すぐに役立つものではなくても情報は常にチェックし蓄積しておく
- 自分の足と目を使って掴んだ知識はより濃く頭の中に蓄積されていく
- アイデアがどうしても浮かばないときは粘らずこだわらず、軽やかに切り替える
- 正確性はとりあえず置いておき、叩き台をつくることが肝要
- 自発的な興味と遊び心こそが仕事の出発点であり原動力である
- 年齢を重ねることは何の問題でもない 知識も発想力も洗練されたものになる
発想術まとめ感想
毎回読み切りで、次から次へと新しいジャンルのお話や話題が飛び出した「こち亀」でしたが、その情報収集と発想はどこから来るのかと気になっていましたが、ほとんどの情報が人から聞いた生の情報と本や雑誌からだそうです。
インターネットよりも生の情報を大事にされているんですね。
同時進行で様々なジャンルのネタがあり、膨大なアイデアのストックが脳内にあるのだと思います。
アイデアがどうしても浮かばない時は、あっさり諦めて切り替えるのだそうです。すると、寝かしておくとある日、突然、アイデアが結実する時があるんだそうです。
アイデアと情報を常に脳内に張り巡らせているからできるんでしょうね。
過去に膨大なストーリーがあるこち亀、過去の話とかぶってしまうことがしばしばあるそうですが、それは気にせずにネームは最後まで書いてしまうんだそうです。
過去のストーリーを確認していたら、仕事がいつまでも終わりません。
最初に叩き台を手早く作って、あとで修正する方が効率がいいようです。
年をとると、発想や知識が衰えてくると心配しがちですが、知識と発想が洗練されていくので全く心配いらないようです。
どんどん、好奇心の羽を伸ばしていくことが大事です。
第5章 健康術
目次
- ストレスなく働いていれば深酒する必要も感じない
- 睡眠の悩みへの特効薬は気楽に構えて、そのまま受け入れること
- ルーティーンは必要なし 頭の中で準備をして座ったら仕事するだけ
- 嫌い な 運動 を 無理 に やる こと は ない 好き な こととセットにして体を動かす
健康術まとめと感想
これだけ元気で活躍されている秋本治先生。
その健康法も気になる所ですが、この章が一番短いです。
少食で、お酒も飲まず、たまに野球やゴルフをする程度で毎日の運動などもしてないそうです。
これといったサプリや食べ物も摂取している様子もないようです。
つまり、これといった健康法はなし!
なんですとーって、驚きですが、
あまり食べず、お酒も好きな仕事ができるので全然ストレスないから飲まなくても全然平気なのだそうです。
眠れない悩みもなくて、むしろ眠くなってしまわないように、コーヒーを飲んだり仮眠をとったりしているそうです。
つまり、健康のために何かするのではなくて、お酒飲まない、大食しない、ストレスためないと言ったような、健康を害するようなことをしない引き算の健康術のようです。
実はこれが一番身体にいいかもしれません。
身体にいいことをするために何かしなくちゃというプレッシャーもありませんもんね。
第6章 未来術
- どんどん変化する世の中に興味を持ち、新しいことに臆せず首を突っ込んでいく
- 苦手だと思っていることからも逃げない
- 苦労の先には必ず良い結果が待っている
- 最短で成功をつかむコツは回り道を厭わず、誰とでも付き合うこと
- たくさんお金をもらって何が幸せ?
- いい仕事をすることこそが最大の喜び
- 小さな目標を持つことが大きなゴールに近づくための唯一の方法
- 仕事をはじめたときではなく最初の目標に到達したときが本当のスタート
- 新たな一歩を踏み出したいときはとりあえず具体的な成果をつくる
- 〝現役の力〟を信じ、休まずに動き続けたからこそ得られる成果がある
- いまごろになってしみじみ感じつつある『こち亀』ロス
- 明るく笑って生涯現役でいることが僕の人生の目標
未来術まとめと感想
最終章では、好きなことばかりして生きてきたという秋本治先生の逆説的なメッセージです。
・苦手なことにチャレンジする
元々、自由なはずの漫画家生活に、会社員のように規則正しい生活を持ち込みました。
時間を厳守したり、苦手なスポーツに挑戦したりすることで、得たものがたくさんあったと言います。
つまり、好きなことを続けようと思うと、その中でも苦手なことや、苦手なジャンルに挑戦しないといけないという逆説的な提案ですね。
漫画家さんと言えば、自由人のイメージがありますが、一般の人間よりよっぽどストイックで節制していないと第1線でずっと活躍できないんでしょうね。
他の漫画家さんの本もよく読みますが、秋本先生ほどストイックな方はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか?
面白いことを生み出す能力と、ストイックにひとつのことを追求する能力が合わさったからこそ非凡な結果が生まれたのだと思います。
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