結構ビジネス書は人並み以上に読んでる方なんですが、ビジネス書でも、自己啓発書でも、【強みを活かせ】と弱点は他の人にやってもらえばいいんだというのが大まかの主張です。
ホリエモンでも勝間和代さんでも、自分が苦手なことはすべて他の人に頼めばいいから、【自分の強みに集中せよ】と言うのです。
この本にも書かれてあるのですが、弱点に向き合って克服しないかぎり、いくら強みで売上を伸ばしても、風呂にいくらお湯を入れても栓をしなければ、お湯はいつまでたってもたまりません。
勉強でも同じで、例えば国語の文章読解力があるから俺は他の勉強は大丈夫だと思っても国語読解の科目が3倍のポイントになる制度でもあれば、いいのですが、国語の点数は限られてますし、英語ならまず、英単語や文法など英語の基礎を固めないと、国語の読解力を活かす地点までいきません。
当たり前といっちゃあ当たり前ですが、ビジネスや自己啓発の世界では割と、そんな幻想がまかり通ってしまいます。
弱点思考で行う私的再生とは
著者の金子剛史氏は公認会計士の経験を活かし、【私的再生】のプロとして、約300社を復活に導いて来ました。
【私的再生】とは、会社が本当に経営破たんして、民事再生方や法的倒産になる前に、経営を立て直すのです。
一度、会社が危ないと知れると、顧客も取引先も警戒して、余計に商売ができなくなる。
外部に漏れないように秘密裏に経営を回復するのが【私的再生】の役割です。
金子氏が15年間の【私的再生】の経験で、痛感したのは、経営危機である会社の多くが例外なく同じ問題を抱えていたことです。
それは【弱点を放置している】ことでした。
どの会社も弱点に甘いのが原因で、衰退していたのです。
強みを活かすためには弱点をつぶす必要がある
金子さんは別に強みを活かす【強点思考】を否定しているわけではありません。
強みを伸ばして差別化することは、企業戦略に必要です。
【弱点思考】は強みを活かすには手順があると解きます。
強みを伸ばす前に、まず弱点を克服することが先決だと言うのです。
「弱みを克服しない限り絶対に強みが伸びることはない」と言い切ります。
弱点を克服できない3タイプ
さらに弱点を克服できない人をこう指摘します。
- 弱点を見て見ぬふりをする人
- 弱点に気がつかない人
- 弱点に気がついても行動しない人
弱点を見て見ぬふりをする人
弱点を見て見ぬふりをするのは弱点を直視する重大さの意識の低さだと言います。
経営者は誰でも自社や業界の現状把握はできているのに、自社の強み弱みを整理できていない。
そして、会社が最期の時を迎えても見て見ぬふりをする人はずっと見て見ぬままだと言うのです。
弱点に気がつかない人
弱点に気が付かない人は経営に対する知識を知らないといいます。
見て見ぬふりの人は何をするべきか分かっているので、気がつかない人はさらにレベルが低いと言えます。
利益をどうすれば出せるか分かっていない。
知識が不足していると、自分が強みだと信じていることが実は弱みだったということもあるのです。
たとえば、スポーツにスパルタ熱血指導と称賛されたカリスマ指導者も今ではパワハラと問題視されています。
時代の変化で強みだったものが弱みに変わるのです。
弱点に気がついても行動しない人
さて、弱点に気がついても行動しなければ意味がありません。
弱点を知った後、経営者がとる行動は3パターンあります。
- 社員に危機感を植えつける
- 社員に哀願する
- 具体的な指示を出す
1・危機感を植えつける社員は危機感を社員に押し付けて、自分の行動は省みない人が多いそうです。
経費削減を社員に訴えながら、自分はゴルフ三昧という人もいるようです。これじゃダメじゃん。
2・自分だけ危機意識をもって現状を社員に訴えても、経営責任を持っている経営者と社員の意識は天と地の開きがあります。
いくら経営者の苦悩を訴えてもしょせん他人ごとです。
やはり具体的な目標・指示を与えることが経営者には必要です。
まとめと感想
弱点を列挙して一つ一つ潰していくことが大事。
なかなか、勇気のいることだし、継続するのも信念が必要ですね。
強み至上主義のビジネス書業界では異端な感じのする弱点の克服でも一般社会では常識的な「当たり前すぎて本のタイトルにもならん」くらいな内容ですが、グルッと回って現実的に本当に必要な考え方かもしれません。
ひょっとしたら、日本経済自体が衰退したのも、この当たり前すぎるくらいに地味なことが疎かにされてきたからかもしれないと思いました。
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