「くノ一忍法」「くノ一化粧」はちょっとエッチだけど結構泣ける。(ネタバレ注意!)

ま、いっかけん
ちょいエロエンタメ研究研究家のま、いっかけんです。「くノ一忍法帖」と言えば、私たちの世代では当時の人気セクシー女優さんが、必殺シリーズのスタッフで作った18禁のアダルト時代劇でした。あの必殺のスタッフがこんなキワモノを撮るなんて悲しい……と多いながらもついつい見てしまいました。

今回見たのはそれよりも20年以上前に最初に東映で作られた山田風太郎原作の忍法帖の映画化です。
設定は女忍者が自らの体を武器にして、命がけのミッションに挑むというもので、実は1990年代に作られたものの方が原作に近い気がします。
2018年にベッキー主演で作られたBS時代劇「くノ一忍法帖」は名前は同じだけど、お色気はうすめで全くの別物です(原作は山田風太郎ですが、 忍法帖が原作。ああややこしい)
当時、長い謹慎から復帰したベッキーがまさかのお色気満載の18禁で復活? と思いましたが、残念?ながらそうではなかった。
ちょっと干されていた女性タレントがヌードで復活――という図式ももう過去のものになりそうです。

当時としては思いっきりセクシー全開の映画なんでしょうが……
全然R指定にもなってないのが証明する通り、普通の映画よりエロくないです。

なのでエロ目的ではけして見ないでください。
エロが目的の作品がエロくないとなっては、鑑賞する意味が限られてしまいますが、名匠と名優の若き活躍が見ることができます。

なんと「北の国から」の巨匠脚本家倉本聰の処女作!

脚本はこの作品がデビュー作の中島貞夫監督と当時本業は放送局のADだった倉本聰さん。
倉本さんの作品に通底するのは、絶対に万能で強いヒーローは登場せず、弱者が必死になって生きる姿を描くこと。
「くノ一」シリーズに登場するのも弱者のくノ一が、命をかけて権力者に立ち向かう姿です。
それと対峙する男の忍者たちも決して超人ではなくて、むしろ滑稽ですらある変わり者ばかり。しかし、それぞれの持ち味を活かして、命のギリギリまで技を繰り広げます。
男忍者・くノ一それぞれの忍法がすなわちその人そのものです。

さすが巨匠はデビュー作でも1本筋が通っていた。

たった一つの命のために命を捨てる

山田風太郎の原作を読んだ方はおわかりでしょうが、忍法帖は奇想天外のアイデア重視で忍者たちの一人ひとりのキャラクターや心情はあまり描かれてません。
まあ、キテレツな忍術使いに内面もなにもないでしょうが、そこが山田忍法帖のいいところなんでしょうけど。

「くノ一忍法」では豊臣秀頼の子供を宿したくノ一をチーム全員が命がけで守って行くというお話。
虫けらのような扱いを受けるくノ一が命がけでお腹の命を守るというテーマに貫かれていました。
エロよりも、その必死さがせつなくて泣けました。

一作目は野川由美子さんの眼力がすごい

主演の野川由美子さんは同じ年に日活(ロマンポルノではないよ)の鈴木清順監督の「肉体の門」「河内カルメン」など女の色香むんむんの作品に主演しています。ですがこの「くノ一忍法」ではエロは封印。

秀頼の正室・千姫の役で自分は子供を産めない体なので、くノ一に秀頼の子を身ごもるように託して、自分はくノ一たちを支える役に徹します。

政略結婚でいやいやながら、豊臣に嫁ぎながら、豊臣滅亡後も豊臣存続のために身を挺して働くけなげさ。

秀頼、いい嫁をもらったねー。

ラストシーン、たった一人産まれた秀頼の子を抱いて、臨終間際の祖父家康の前に立とうする千姫の微笑。

後の「柳生一族の陰謀」のラストシーンを思い浮かべてしまいました。

野川由美子さん眼力女優では私の中でナンバーワンです。

最強忍法くノ一化粧!すごいのはすごいけど……

「くノ一忍法」「くノ一化粧」通して登場する忍法が「くノ一化粧」なんですが、この忍法くノ一と名がつくだけに女忍者の忍法だと思うでしょ。

ところがこれは男忍者の必殺技なのです。
女性の体の一部を口で吸うと、(部位は自主規制)なんと男忍者がその女性に変身するという奇想天外の山田風太郎忍法の真骨頂。

しかし、当時のきれいどころの女優さんが、実は小沢昭一さんだったり、芦屋雁之助が化けていたりするわけです。
芳村真理さんとか、三島ゆり子さんだったり……いくらセクシーなポーズされても中身が小沢昭一さんや雁之助さんだと思うと……ゲッ……エロに……エロに…集中できない。

二作目は露口茂さんの叫びがすごい!

第2弾「くノ一化粧」は奪い合うアイテムが豊臣の血から豊臣の埋蔵金になっているので、くノ一の必死のけなげさはちょっとダウン。

埋蔵金のありかを知るには大友流のくノ一たちの体内(部位は自主規制)にある鈴を6個集めないといけません。
男忍者と主役も前回はくノ一側から描かれていたのに、前回千姫の許嫁の坂崎出羽守を演じた露口茂さんの敵側の鍔隠れの忍者の首領扇千代に――
扇(せん)と名がつくのは前回の主役千姫を受けて?

扇千代はくノ一の首領天姫(弓恵子)の忍術で視力を奪われてしまいます。
失意の扇千代を救ったのは、千人斬りを誇る遊女伽羅(春川ますみ)。
遊女に身を落としても心は純なのです。

伽羅は無償の愛で扇千代を支えます。
扇千代も伽羅の愛に癒やされて相思相愛。いつか目を直して、伽羅の顔を見たいと願っています。

天姫は忍術を使って伽羅に変身。
扇千代から鈴を奪うために伽羅になりすまして、接近。
しかし天姫は戦っているうちに扇千代を本気で好きになっていました。

殺すことが出来ず、くノ一忍法は不発。そのまま扇千代に抱かれて、女の悦びを初めて知ります。
天姫の術が解かれた扇千代は視力を取り戻します。
はじめて伽羅をその目で見た扇千代は天姫を伽羅だと思いこんでしまいます。
天姫はそのまま逃げ去ります。
最愛の伽羅だと思い扇千代は追いかけます。
そこを通ったのが本物の伽羅。
伽羅は扇千代の目が元通りに戻って大喜びしますが、扇千代は
「お前はだれだ!」
と言ってはねつけてしまいます。

3人が3人、思いが遂げられない悲しいラストです。
それでも、音楽はクールなジャズが流れていて、キャラクターの悲しみによりそわない非情な演出です。
ストーリー展開は倉本聰テイスト、演出は中島貞夫テイストの感じがします。

劇中の中で何度も叫ぶ声が「山さんだ!」と思ってしびれました。
「太陽にほえろ!」で登場するのはまだちょっと先の話。
露口さんは若い時も渋かった。

 

ま、いっかけん
倉本ドラマってほとんどほろ苦いラストなんですよ。だからいつまでも心に残って忘れられないんだよね




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