白土三平作忍者武芸帳の影一族に強みを学ぶ

ま、いっかけん
母校の高校の図書館に「カムイ伝(第1部)」が所蔵してありました。大河ロマンを堪能したなあ。勉強はついていけなかったけど図書館だけはありがたかったよ! 「忍者武芸帳」は「カムイ伝」の前章的な作品。オークションで格安で入手。もっと早く読んどけばよかった! 格安じゃないと手を出さなかった自分のセコさが恥ずかしい……

忍者武芸帳とは

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白土三平先生が貸本漫画時代に1959年から1962年に発表した忍者劇画です。

時は織田信長が天下を狙う戦国時代末期から安土時代。剣法陰流の流れを汲む忍者集団影一族の首領影丸と一族を裏切りった男を仇と追う浪人重太郎の二人が主人公です。

影丸は武士ではなく農民が主体になって国を運営する民主国家の理想を掲げ各地で一揆をひき起こします。重太郎は元国主結城家の跡取りでしたが、城代坂上主膳の裏切りで一族は壊滅。主膳を仇と狙い、剣術の磨きをかけます。

影丸・重太郎の活躍で城主の座を追われた瓜二つの明智光秀の影武者になり、天下統一の渦の中に入っていきます。

本能寺に入った信長を主膳は光秀になりかわって襲撃――昨今、流行った信長や信長周辺が描かれた映画・小説・漫画に引けを取らない面白さ。というよりはるかに面白い。是非是非ひろく再び読まれてもいい作品だと思います。

忍者にならざるをえなかった者たちの強みのみつけかた

影丸率いる影一族はみんな自分独自の特殊能力(エスパーのような超能力ではない)を持っています。名前もその能力にちなんでつけられています。メンバーの共通点があります。

  • 集団から離脱した、集落の外でないと生きていけない
  • 自然の中で生活しているうち、動物の習性を身につけ。それを忍びのわざに利用する。

たとえば「くされ」は幼少の時に村の狩人に意地悪をされて穴熊の巣に逃げ込みます。そこで穴熊になついて、穴熊と親子のようになり人間の生活を忘れてしまいます。

穴熊の生態が身についてつ、土に潜って穴を掘るのが異様に早い。おならを敵に向かって正確に放てる。という唯一無二の技を持っています。

影丸は変装して、村落に溶け込み、村人を観察して特別な能力を持った少年をスカウトします。

同調圧力が強くて、みんな同じがいいという空気の中では特殊能力は発揮できないどころか排除されるでしょうね。

極限状態だからこそ発揮される特殊能力

忍者たちの特殊能に開眼するのは、必ず自分か周囲の人に身の危険が及んだ時、

「もう、死ぬ!」

というギリギリの瞬間になってはじめて、発揮されるのです。

私は毎回この場面で唸ってしまいます。「漫画だからだろ!」と思われるかも知れませんが、説得力があるんです。

対談番組でムロツヨシさんが渡辺直美さん語っていました。ムロさんは親戚の家にずっと居候して、親戚の人にいつも明るく振舞わないといけなかったそうです。渡辺さんは母子家庭で毎日がアップダウンのある暮らし。類まれなるコミュ力と表現力は、環境とやらねばならない極限状態あればこそなんだなと思います。

結局、長く実践の中で身につけたものじゃないと「強み」にはならないってことですかね……

映画にもなったクォリティの忍者武芸帳

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「忍者武芸帳」は大島渚監督で映画にもなっているのです。原作のイメージを損なわないようにするため、原画をそのまま使用して声だけを当てるこの作品唯一無二の方法で作られました。それだけ作品の完成度が高いってことなんです。

当然ながら「カムイ伝」もいいよ

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こちらは江戸時代初期。戦乱が終わり、下剋上もなくなりガチガチの身分制度が形成され、ますます下層階級の圧迫が強まります。その中でカムイや正助を始め、様々人間たちが自由を求めあがいていきます。社会とはなにか? 人間とはなにか? 考えさせられる稀有な作品。

今に続く忍者漫画の原点。とくくるだけでは収まらないあまりにも巨大な作品です。




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