
オリジナルのウルトラマンオーブはさすらいのヒーローとお笑いパロデイ・コメディテイストでした。メインライターの一人中野貴雄さんの持ち味が出ていました。
今作のオーブファンが同じお笑いテイストを求めたらちょっと肩透かしをくらうかも。
今回はお笑いテイストはゼロです。
むしろ今回のメイン監督の小中和哉さんや実兄の小中千昭さんが脚本を手がけた平成三部作・ティガ・ダイナ・ガイア・コスモスの世界観を色濃く反映した作品になりました。
「光の巨人」の一連のウルトラマンが好きだった人にはたまらない作品になってます。
そのかわり昭和ウルトラマンは一切登場しませんよ。
◎目次
命の樹を巡る時空を超えた壮大なラブストーリー

惑星カノンの王女アマテと地球の生物学者翔平、「命の樹」と呼ばれる宇宙根源のエネルギーの種子を通じて、時空を超えて、二人の心は結び合う。
なんかあの大ヒットアニメ「君の名は。」みたいだなと思われるかも知れません。
むしろ逆。
新海誠監督はNHKで放送された少年SFシリーズや小中和哉監督作品に影響を受けています。
でも小中和哉監督劇場デビュー作「星空の向こうの国」は
パラレルワールドで見たこともない少女と心が結びつく少年の物語でした。
小中和哉監督の方が元祖だったんですね。原点回帰?
ストーリーの大軸はここで、実質上の主役は王女アマテと翔平。福田沙紀さんとゴーオンレッドだった古原靖久さんが演じているので重要なポジションであるのがわかります。
ガイやジャグラーたちはそれを守る脇役的存在です。
でもガイの戦士としての成長。ジャグラーの心の変化も連続ドラマできっちり描いていますよ。
大人にも鑑賞に耐えうる作品です。
まだ未熟だった頃のガイの成長物語。ジャグラーが強い、カッコいい!

物語はまだクレナイガイがウルトラマンオーブに変身できる力を手にいれたところからスタート。
本編では宿敵だったジャグラーが前日談では頼れる相棒です。ガイはまだ戦士としては未熟。
ジャグラーの方が戦士としての精神面・技術面で上手です。オーブに変身しても戦い方が下手で、いつもジャグラーが助けます。
このジャグラーがカッコいいです! キメキメアクション。キレがいい。
主役という位、いい場面をかっさらっていきます。
しかし、ある出来事がきっかけにジャグラーに重大な変化が……それは見てのお楽しみ。
次第次第にあのヒーロー・ガイになっていくプロセスを描いています。
ダイナ・コスモス・ガイア・アグルが助っ人で登場
発展途上のガイを導くべく先輩ウルトラ戦士が登場。
前半の宇宙編に登場するのは、ウルトラマンダイナ・アスカ・シン役のつるの剛士さん。
ウルトラマンコスモス・春野ムサシ役の杉浦太陽さん。

つるの剛士さん、杉浦太陽さんお二人共、多忙にもかかわらずちゃんとウルトラマンに出演してくれる。
うれしいですね。
ちなみにつるの剛士さんは今回主題歌も担当です。歌もいいですよ。
アスカは戦いの実戦の中で、ムサシは優しく包み込むように。二人とも、キャラクターの個性の通りにガイを導いてくれます。
後半の地球編ではウルトラマンガイア・高山我夢役の吉岡毅志さん、ウルトラマンアグル・藤宮博也役の高野八誠さんが登場。

我夢は科学者と発明の力でガイと翔平をサポート。
藤宮はかっての我夢と自分の対立した経験を生かして、迷走するジャグラーを導きます。
伝統芸能のポテンシャル恐るべし 和泉元彌の怪演!

今回の最大の悪?科学者サイキを演じたのは狂言師の和泉元彌さん。
絶対的な独裁者と思いきや、宇宙の争いを終わらせて平和にしたいという悲願をもっているなんとも複雑な性格のキャラクター。悪の中に正義があり、正義の中に悪がある。
掴みどころのないキャクターを時には低音でゆっくりと、時には高温で柔らかいセリフ回しで。
ピンチの時にはスイスイと逃げる逃げ足の早さ。そうかと思えば用意周到に罠を準備する狡猾さ。
生身の役者が演じるからこそ出せる表現ですね。宇宙人のきぐるみではここまでできません。表情豊かに、見事に演じきりました。
狂言師と言えば有名なNさんがとりわけ取り沙汰されますが、いやいや和泉元彌さん力も侮れません。
底力をみせつけられました。
人類は戦う以外に生き抜く術はないのか?壮大な物語再び
「人類こそ地球にとって癌ではないのか?」という問いかけがあった「ウルトラマンガイア」
キャラクターそのものが怪獣を退治せずに優しく平和主義者だった「ウルトラマンコスモス」
今回のオーブ・オリジン・サーガはその世界観に通じるものがあって見応えのあるものでした。
人類の矛盾の象徴とも言えるキャラクターサイキとの対決を通して、人類が出す答えは?
そしてクレナイ・ガイはどこへ行くのか?
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