マカロニウェスタンのDVDを見ると、反射的にある時代劇を思い出す。
必殺シリーズ。
いまだに続く人気シリーズだが、マカロニを見ながらも、仕事人たちの殺しのシーンがよみがえって仕方がない。
ほとんどマルパクリなんだけど、ビミョーにメロディがずらしてあって。
あー、必殺とちょっと違う! 残念
って、勝手に残念がられてもマカロニの方が本家なんだから、いい迷惑だ。
それくらい耳になじんでるのです。
もともと黒澤明「用心棒」をパクった「荒野の用心棒」からなので日本がマカロニの親元とも言える。
薄汚れた風体、目的のためなら手段を選ばない。
流行作家の中で、笹沢佐保さんはマカロニウェスタンを見て、木枯し紋次郎を閃いたんだとか。股旅時代劇はそれまではあったが、長谷川伸原作の「一本刀土俵入」はじめ、旅烏のやくざは人情にあつくて、庶民の味方、身なりもこざっぱりしている。
ところが紋次郎はマカロニウェスタンのキャラそのものだった。庶民が助けを求めても
「あっしにはかかわりのねえこって」
と、言いながら最後には思いっきり関わってしまうのがお約束なのだが。
続いて紋次郎のライバル番組として登場したのが「必殺仕掛人」だった。今までの時代劇ヒーローの悪をうつ理由はもちろん正義のため世のため人のため。
もちろん報酬はなし。だが、仕掛人が高い報酬をもらって、人知れず悪人を仕掛ける。たかりリスクを背負うんだから、その位は貰わないと割に合わないわけです。でも、中村主水が登場する「仕置人」からだんだん相場が下がっていく。
副業のこづかい稼ぎにくらいにしかならない。
中村主水も今までの時代劇ヒーローとは全く真逆の人間像だった。普段はうだつの上がらない窓際同心。家に帰れば婿養子で嫁姑にイビられまくり。だが、裏では凄腕の殺し屋仕事人。欲望に正直なマカロニウェスタンのキャラを日本向けにして、テレビドラマ史上まれにみる得意なキャラクターになった。
高橋克典が「特命係長 只野仁」をやって二面性を見せているが、あれは分かりやすく二つのキャラではっきり違うが。藤田まことはまったく同じかっこのままで、ダメ男と殺し屋をさらっとやってのけた。見事です。東山紀之が後をひきつでいるが、格好良すぎるのでダメ男の部分がちょっと不満。
あと、太陽にほえろのマカロニ刑事のテーマはまさしくマカロニウェスタンの音楽そのものだった。
マカロニウェスタンの音楽のほとんどを担当したエンニオ・モリコーネが大河ドラマ「武蔵」で音楽を担当しても、なんの違和感もなかった。それほど日本のエンタメに与えた影響は大きい。
マカロニウェスタン永遠に。時代劇よ永遠に。
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