特撮映画の金字塔「キングコング」の続編「コングの復讐」意外にいいよ

のちの特撮映画に大いなる一歩を残した「キングコング」は言わずもがなの大傑作の大名作ですが、その続編は1年も経たずに公開されていることは意外と知られていません。

というかすっかり忘れ去られていますが、つい先日ようやく拝見しました。

昨今の映画では大ヒットした映画の続編なら、さらなるヒットを望んで予算も倍増、キャストも豪華に——と考えるのが普通でしょうが、このキングコングの続編はちょっと今と製作事情が違うようです。

では、なぜ「コングの復讐」はなかったことにされてしまったのでしょうか?

極端に後ろ向きな製作姿勢なぜ?

空前のヒットを飛ばしたキングコングなのに、なぜか、モンスター映画の続編はヒットしないというジンクスがあったのか? 

どうせ1作目よりはヒットしないけど、それでも作れば多少は客は入るから、今度は低予算で短期間で作ろうということになったのでしょうか?

作っていた監督・特撮監督はやる気があったけど製作者・スポンサーはあまり特撮映画に理解がなかったんでしょうかね。

もともとキングコングを発案したメリアン・C・クーパーが関わっていないんですね。

ひょっとしたら、1作目の共同監督アーネスト・B・シュードサックと制作するかどうかで意見が別れたのかも知れません。

実際にストップモーションアニメでキングコングを動かした特技監督のウィリス・オブライエンは名前だけで、実際はオブライエンの弟子が担当したと言われています。

 では、なんで前作が世界的大ヒットになったのに続編はこんなやる気ゼロ。参加メンバーバラバラの状態になってしまったのでしょうか?

第1作「キングコング」の制作秘話に関する本はあるのですが、なぜか「キングコングの復讐」に関する資料は極端に少ないんですよね。栄光のキングコングシリーズの中の黒歴史なんでしょうか?

じぶんなりに「キングコングの復讐」がダメダメになった理由の仮説を立ててみました。

製作期間が極端に短かった。

前作「キングコング」はめちゃくちゃ制作費も製作日数もかかってしまった。

しかも何年もかけて前作は作られているのに、ものの何ヶ月もかけずに続編を作れという。

そんなタイトなスケジュールでまともなものが作れるワケがないよ。前作のスタッフたちもすっかりやる気を無くてしまった。

モンスターものの続編は当たらないジンクスがあるので、はじめから当たらないのを承知で予算を削られてしまった。

以上、自分の妄想です。あしからず

それでも「コングの復讐」は面白かった! その理由

そういう事前情報があったので、正直本作はあまり期待してませんでした。

実際に、前作ではふんだんにあった特撮シーンやコングの他のモンスターとのバトルも控えめでした。

普通、続編とならば前作を上回るスケールなるのを期待しますが、逆のスケールダウン。これじゃお客は期待はずれでガッカリしますわな。

でも、私のような特撮だったらなんでもおいしく食べられてしまう「特撮変態」にとっては意外といい作品の印象を受けました。

おおいなる挫折を知った男の再起の物語

なんと、「コングの復讐」の主人公は、コングに捕まった前作のヒロイン・アン・ダロウでもなく、アンを救出したヒーロー・ ジャック・ドリスコルでもありません。

主人公はキングコングを髑髏島からニューヨークまで引っ張ってきて大惨事を引き起こした張本人・映画監督の カール・デナム(ロバート・アームストロング)でした。

コングにもニューヨークの住人にも大迷惑をかけた「やらかした奴」のその後の人生が描かれているのです。

コング事件の後、大惨事を引き起こしたデナムは借金の返済や被害者や被害者家族への償いでマスコミに負われて、安アパートに身を隠すように暮らしています。

本当だったら、キングコングで巨万の富を築き、一躍寵児になっているはず――なのにデナムに待っていたのは過酷な現実でした。

現代なら「業務上過失致死傷罪」でデナムは刑務所ぐらしかも知れませんが、当時はそういう罪は無かったんでしょうか。

デナムはあのキングコングを発見した髑髏島に金銀財宝が隠されているという噂を聞き、借金返済のために一念発起、あの忌まわしい記憶の残る髑髏島に再び乗り込むのでした。

単純明快な娯楽作でありながら、しくじってしまった中年男の悲哀と再起をかける人間ドラマが描かれているのです。

中年になってから見たので、しくじりの悲哀を舐めるデナムの心は痛いほど染みました。

「コングの恩返し」コングの息子との絆の物語

再上陸した髑髏島でデナムはあろうことかコングの息子に遭遇します。

「コングの復讐」の現代は「Son of Kong」コングの息子なんです。

デナムは底なし沼にハマっていたコングの息子を助けます。

デナムを命の恩人だと思ったコングの息子は以後、デナムの恩を忘れず、献身的にデナムに尽くすのです。

私は個人的にに「コングの息子の恩返し」と名付けたいくらい、コングの息子はデナムに尽くします。
デナムの考えなしの行動が自分の父を追いやったとも知らずに。
あー、因縁の恐ろしさ。

ネタバレになってしまいますが、最後の最後までコングの息子はデナムを救おうとするんです。

そのラストシーンはあの後年の「T2」ターミネターにもオマージュされています。

前作の教訓を活かした?コングの息子の毛色は……

なぜかコングの息子の毛は白いんです。モノクロなので実際の毛の色はわからないんですが、明るい色であったことには間違いありません。

キングコングは毛も黒くて、顔も黒かったので、大画面で見ると真っ黒あまりにも画面が暗いので、2作目は考慮されたのかも知れませんね。

コング善玉化は既に2作目から始まっていた

キングコングは ヒロイン・アン・ダロウにのみ優しくて、後の人間に対しては凶暴で、ビルから投げ捨てても平気でした。

ところがコングの息子は徹底的に自分に尽くしてくれたヒトに恩返しするのです。

日本の大怪獣ゴジラは登場してから、正義のヒーローとしてのポジションになるまでかなりの間悪役で、たびたびキングコングやモスラは正義なのに対して悪役に回っています。

ところが第1作のキングコングの中にある種の人間らしさ可愛らしさを見出したのか、早くも第2作で善玉になりました。

尽くしてくれた人間に対して絶対的な忠誠を尽くすのは1949年制作の「猿人ジョー・ヤング」にも継承されます。

その流れを受けてキングコング映画が日本の東宝でも作られますが、水野久美さん扮する生物学者に育てられて水野さんを母のように慕うのは「コングの息子」の流れを汲むものです。

東宝が制作されたキングコング映画もなかなかのクォリティーでその中で「キングコング対ゴジラ」「サンダ対ガイラ」が作られました。

その流れで、2020年に公開予定の「髑髏島の巨神」にはゴジラが登場するようです。

日本で作られた言わば亜流が本流に戻って、キングコングとゴジラが再び戦う姿がハリウッドで作られるなんて感慨無量ですな。




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